2015/05/15
Part 3 は神村恵さんです。つねに新しいダンスの姿を模索している神村さんですが、とくに近年では、社会とダンスとの関係に、デリケートなまなざしを向けている作家です。『神村恵入門』にも登場してくれた神村さんですが、今回はダンス作家達との対話のなかで、『〜入門』のときとはまた違った話をしてくれています。「なるべく個別に見てほしい、簡単に共感してほしくない……謎のまま受け取らせたい」との思いは、神村さんのスタンスを如実に語るものかもしれません。
木村覚
収録日時 2015/03/25 14:00-17:00
会場協力 A-MA-LAB(アマラブ)
BONUSから神村恵さんへの質問と
神村さんからの返答
Q1 いまあなたが取り組んでいるのはどんなダンスですか?
動きをやり直す、身体をやり直すダンス
歩き、立ち、寝そべり、縮め、伸ばし、飛び上がったりすること。
Q2 そのダンスの方法、核となる思想とはどんなものですか?
今ある身体は昨日と同じものか、いつもの動きはいつもと同じか、疑って、その都度確かめること。
Q3 あなたのダンスと社会との関連について、どのように考えていますか?
理屈では人は動かない。
感情で、人は動くかもしれないが、かえって動きすぎるし、一時的なものに終わってしまう。
では人は何によって最も持続的に動かされているのか? と考えると、具体的な身体の動きの中に生じる感覚ではないかと思う。
「動いている」ということ自体を、詳細に冷静に見る視点を育てること、それぞれの人がそれを個別に体験することが、ダンスにおいても社会でも必要なことだと思う。
Q4 ダンスを取り巻く場の可能性・課題をどのように考えていますか?
社会情勢は揺れ動き、ダンスというものに対する考え方も移り変わっていくので、そういう時勢に自覚的に乗り遅れ、踏み外すことが可能性であり課題だと思う。
例えばあと数年したら、オリンピックとかに向けて、ダンスを用いて身体から一体感を作り出そうという流れが強まるだろうし。