BONUS

イラスト:新井祥

映像のダンスを制作する
連結クリエイション
新井祥さんに学生たちが聞いた
「性愛と表現」とくにLGBTのこと

第2回連結クリエイションでは約100年前のバレエ作品『牧神の午後』を取り上げます。それにあたって、2015年度前期の木村ゼミでは「性愛と表現」を研究テーマに据えました。学生たちの希望を募ってゲストを招き、ゲストに学生のみんながインタビューを行うというやり方で、研究を深めていこうということになり、議論を重ねて最終的にお招きしたのが、会田誠(美術家)さん、岡田育(文筆家)さん、新井祥(漫画家)さん、となりました。さて、今回は漫画家の新井さんと対話を重ねた回のまとめです。新井さんのアシスタント、うさきこうさんも強力なコメンテイターとして参加してくださいました。新井さんの「中性」というセクシュアリティについて、あるいはうさきさんの「ゲイ」という立場から見えている恋愛や人生のことについて、ユーモアの混じるリラックスした雰囲気の中、躊躇のない議論が展開されました。「性愛」を表現のテーマにしたい作家のみなさんに、一度目を通してもらえたら。きっと何かのヒントが見つかることでしょう。


インタビュイー・・・新井祥さん、うさきこうさん
聞き手・・・・・・・木村ゼミの学生、木村覚

学生A

(司会者)「○○と性愛」、例えば「性愛と芸術」というようなテーマで新井祥さん、そして新井さんのアシスタントのうさきこうさん(こうくん)に色々とお話をお聞きしようと思っています、よろしくお願いします。

新井

よろしくお願いします。はい、四コマエッセイ漫画を描いてます、新井祥と言います。基本名古屋で専門学校の講師をやりながら漫画家をやっているんですけれども、実家自体は東京ですので、わりとこっちに居る時間の方が人生的には長いですね。みなさんには漫画見て頂いたと思うんですけれども、作風は中性の立場から見たLGBT全般の内容で、あとはLGBT関係なく普通の性に関することをテーマに取り上げてます。基本はギャグですね。木村先生とは同い年です。

一同(笑)

新井

先ほど同い年ということがわかりまして……よろしくお願いします。

一同よろしくお願いします!

うさき

それじゃあ僕のほうも。本当は今日来ない予定だったんですけど、昨日トークショーがあったのでついでに。アシスタントをしているうさきこうと言います。今も一応しているんですけど、この間ボーイズラブの方でデビューさせて頂いて、ついでにゲイのカミングアウトもして、トークショーでそれを言ったらだめな感じで、なんかすごく静粛な感じで(笑)誰も驚かない……

新井

やっぱりそうだったんですかーっていう空気だったよね。

うさき

超すべりました。

新井

ということで、こうくんのほうからは、ゲイの立場というところからなにか質問があったら答えてくれるのでちょうど良かったね。

うさき

ここに存在するのも奇跡ですよ。僕30歳なんですけど、男でホモだからね。しかも高卒で。今ここにいる女子達と何の接点もない。

一同(笑)

新井

まあ、だからこそ聞いたら面白いことが隠れているんじゃないかなと。

中性の立場から見た世界

学生B

新井さんの思ういい女といい男についてなんですけれども、女性から見たいい男と男性から見たいい女って違うと思うのですが、どちらとも経験したことのある新井さんにとっていい男やいい女はどういうものなのか教えてください。

新井

そうですね。たぶん性別が中間あたりの人って人工的な人でも、自分みたいな生まれつきの人でも、わりと世間一般でいうノンケと呼ばれ、普通に女性として生きて、男性と性行為する、そして男性として生きてきて、女性と性行為する、みたいないわゆる結婚して子供をつくっていく人たちとは価値観がちょっと違うというのはよく耳にしますけど。自分自身は特に決まりはないんですけど、いい性格でしょうかね。あとはいいセンスとかでいい男やいい女と思いますかね。どちらかといえば、内面の価値観があうとかセンスがあうとかで惹かれあうことが多いのはたまに聞くよね、セクマイの人たちから。

うさき

そうですね。

新井

マッチョとかボインボインというよりかは、フィーリングでいい人だなって捉えるほうが耳にするよね。

うさき

耳にするのはそうですね。

新井

実際の性欲はどこへ向かってるかわからないけど……言わないだけで(笑)

うさき

ムキムキがいいゲイってもう行動に移してるから、いちいち喋らないですね。

新井

性的な意味でも、いい女、いい男っていうと中間の人たちが入ってないことになるから、あんまり考えないかな。いけてるな、とかで考えてますかね。こうくんはなんかある?

うさき

いい男……向井理……堂本剛……(笑)……こういう意味じゃないよね!

新井

こうくんの場合は「いい女」とかいらない項目だもんね。でも友達として、付き合いやすいとかはあるよね。

うさき

そうですね。やっぱりうまいこと男を扱おうとしてる子が付き合いやすいですけどね。

新井

さっぱりしてる感じの子? 完全にその……服従している子というよりも、うまいこと渡りあうような子?

うさき

そうそう。服従というより、服従しないからといって、張り合おうともしないでうまいこと男を扱って手の上で転がしてるくらいの子のほうが自分とかぶらない限りはいいかな。その狙う男とか好きな人とかをその人が対象にしてきたら瞬間的に一番最悪な敵になるけど(笑)

学生C

新井さんの著書の中では、肉体改造の話もされてますが、その中でも先ほどもおっしゃっていたようにいけてるように自分を改造するというのは、いけてるかどうかの基準で自分自身も変えているんですか?

新井

街に溶け込みたいんだよね。中性的な人は、放っておくと曖昧な外見になっちゃって、街でみるとあの人どういうことなんだろうってちょっと目立つことが多くて。自分で男か女か決めて、肉体改造していくと街に溶け込める感じがして、その溶け込める手段を探してるんですよね。

学生D

女性だと花を綺麗だなと感じても、男性だと感じないなど、男女の価値観の違いがあると思うんですけど、新井さんの場合は女性ホルモンが多い時と男性ホルモンが多い時で世界の見え方は変わりますか?

新井

そこそこ違って見えますね。同性だって思うと、目に入るところが違います。例えば女の子の外見のときに、友達の女の子の髪の毛とか服装とか何も目に入らないんですけど、男性ホルモンが多くなると女性の髪ってなんでこんなに細いんだろう、とか違うところが目に入ることがありますね。その逆もしかりで、女性になると喉仏とか手が大きいとか男性らしい特徴に目がいくようになります。

学生D

あくまで恋愛対象じゃない人でも、見え方が変わってきますよね。

新井

そうですね。えっちな意味じゃなくて、純粋に驚きますね。こんなに髪が細いとか、つやつやしているとか。

学生D

交友関係に変化はないのですか?

新井

意識はしますね。光り輝いてみえたりして、異性になると緊張しますね。同性になるとまったくないんですけど。巧くんはなんかある? 女性的な見方が多いよね。かわいすぎるものが多いと、母性が芽生えて泣いちゃうとか。

うさき

でもそれはみんな感じるんじゃないですか? かわいい猫とか見ると泣けてくるよね。

新井

俺は母性みたいなものはないなあ。

うさき

俺もないはずなんですけどね(笑)

新井

ほかのさっきの花とか風景とか、たぶん性別はあんまり関係ないんじゃないかな。若いころは、女の人のほうが花やウサギに目がいくのかなって思ってたんですけど、男の世界になったら恥ずかしいから声を大にして言わないだけでそこら辺はあんまり変わらないな。綺麗なものは、しんみりと綺麗だなって思うし、かわいい猫とか子犬とかみると、キャーとか声はあげられないからにっこりとする。それがわかりました(笑)

うさき

動物好きは多いですよね。

新井

そうなんだよね。静かに手を振るくらいで、心のテンションは同じだよね。

うさき

完全な動物NGって女の人が多くないですか?

新井

それはたぶん小さい頃のトラウマじゃないかな。

うさき

そっか。たしかに怖いよね。うちの近所のハスキーも放し飼いだったもん。

新井

あとは異性のにおいとか、そんなに嫌じゃなくなるかな。同性だと臭いとか感じたりするのはありますけど。体臭とかコロンのにおいとか。そんな感じですかね。

学生E

漫画の中に新井さんが男性・女性の、両方の方とセックスする描写がありますが、その時に性別のスイッチはどう切り替えているのでしょうか?

新井

僕は自分が男性の時も女性の時も攻めるのが好きなので、そんなに変わらないです。でも自分が「抱かれる」側になった時は、お手並み拝見(笑)相手が自分より上手いか下手かを考えて、「なかなかイケるな」と思ったらそこで技を吸収して次に活かします(笑)

学生E

では、性別のスイッチが変わる訳ではないんですね。

新井

はい。自分は違うけど、わざわざスイッチを切り替えたがる人もいます。切り替えることが楽しくて女装をしている人ですね。例えば週末だけ性格や名前すら切り替えて普段は課長さんの人が女装をしたり、そういった人は割といます。男性のほうがスイッチを切り替えて、リフレッシュできる人のが多いんじゃないかな。スカートとか履くのは男性はタブーだから、切り替えないと女性と違ってやりにくいんじゃないかな。女性はスボンを履いても咎められないけれど。

うさき

読者の方にもスイッチを切り替える人は多いです。例えばある方はどうやらTwitterのアカウントを別々に作っていたみたいだけど、女装の方のアカウントでずっとFXについて語っていました。暫くしてから「アカウントを間違えた」と(笑)

新井

おじさんとしてのメインのアカウントでFXを語りたかったのにね(笑)

「中性男子」をめぐって

学生C

私は阿久津愼太郎くんという俳優さんが好きなのですが、彼は女装を完全な趣味として楽しんでいます。ただ、これは本当に女性になりたい人にとっては嫌な行為となってしまうのでしょうか?

うさき

それは荒れてる。

新井

うん、女性の外見をして女性をナンパする人等もいるので。

うさき

そういう人がネットで増えたから、女装する人に対する世間の当たりはちょっとキツくなってますね。

新井

こうくんもそういう人と勘違いされないようにカミングアウトしたし。

うさき

そう。それでも僕の事を疑っている人はずっと疑っていますけどね。俺がそいつの前でホモセックスしない限りはずっと疑われますよ。でも、ホモとホモではない人の区別はすぐ分かります。

木村

どういう所にそのサインがあるんですか?

うさき

全部的中はしませんが、6割方は分かります。東京に来るときにも名古屋駅のお土産屋さんで試食をしたらすごいマッチョの人と手がかち合っちゃって。お互い、謎の「キャッキャ」オーラが出てた。互いにゲイだと察し合うし、目が3回くらい合う。普通の男なら必要ないぶりっこが入る。

学生A

最近では「中性男子」を名乗る人もいますよね。

新井

今は本当に男のぶりっこの全盛期です。男の子がぶりっ子することを覚えてきました。でも綺麗だからそれもいいんじゃないかと思います。本当に男の子たちが「可愛い」と言われたがる時代に入ってきたと思いますね。韓国アイドルのような「前髪系男子」というジャンルもありますし。
10年前、20年前でも当時「可愛い」とされていたジャンルは常にありますが、昔はどこか男の子らしくしたがる人が多かった訳です。「可愛い」「女の子らしい」と言われると嫌がるのが昔の普通の男の子です。それが、男の子が自分から「可愛い」と言われようとするのがここ数年での変化です。韓国のアイドルの子たちがぶりっこするのが上手なので、その影響も大きいのかと思います。

うさき

兆候はありましたよね。「可愛い男子」というジャンルは90年代からありますよね。そういったメンズファッションも流行りましたし。

新井

ノンケの男の子たちが、可愛い仕草をするようなゲイと同じような姿を女性に見せるようになったのが、ここ数年の大きい変化だと思います。

うさき

可愛い男子は皆にとってはかっこいいの?

新井

例えば韓国の子たちは背も高いから、女子にとっては"カッコ可愛い"なのかもしれないね

ゲイについて

学生F

今好きな方ができた場合、新井さんは男性・女性のどちらとしてお付き合いをしたいですか?

新井

この外見で女性として付き合ったら恐ろしくないですかね?(笑)

学生F

では、新井さんは女性として男性を見ることは無いのでしょうか?

新井

無いですね。僕は本当に“真ん中"なので、女性のように「愛されたい」と思うことも、男性のように「俺が守ってやるよ」ということも思わないです。男性・女性のどちらかとして恋愛をするということも考えたことがないです。昨日元旦那の人とトークショーをしましたがその時も、互いに性別を気にしたことはないという、同じような話題になりました。一度頑張って「イイ女」風の服装もしてみたことがあったのですが、変貌し過ぎてしまい元旦那に「ショックだった。中性的なままでいてほしかった」と言われました(笑)

学生E

すごく個人的な質問なのですが、デートにはどちらに行かれたんですか?

新井

ディズニーランドとかです、普通ですよ。男性的な服装でディズニーランドに行ったこともありますが、周りの人は変に思っていたかもしれませんね。

学生G腐女子がフィルターをかけて男性を見ていることについてはどう思いますか?

新井

人によるかな。自分としては、3次元的な想像力があることはそうじゃない人よりも世界が広がって楽しいかなって思ってるかな。でも嫌がる人は嫌がるかもしれないですね。

学生G逆ハラスメントみたいな形になったりするのかなって思ったんですけど

新井

なってるところはなってるよね。あとはSとかMとか決めつけ的な。あれは絶対ドSの鬼畜だよみたいにキャラクター設定みたいなのが始まると風評被害化する場合もあるよね。だからこっそり言ってる分にはいいよね。それはゲイに対してではなく、男性全体に?

学生G見てる感じで明らかに違うと思う場合もあるんですけど、あれ? これは? って思うときもあります。

新井

思う分には自由じゃないんですか? だから大丈夫だと思いますよ。

学生G実際にゲイの方でも思われてるかもしれないとか思うんですか?

うさき

ゲイの人々だと受け攻め認定とか多少面倒だなとは思うね。そもそも日本のゲイの人って9割受けなんですよ。圧倒的攻め不足なの。そういう風にカツカツな人生送ってる人たちに気軽に言うと「そう気軽に変われるか!」とはなるかもしれないけどでもそんな気にしてないですよ。

新井

昔は腐女子の人でひげ熊とか嫌ってる人もいましたけど、今時はあんまりないですよね。昔って本物のゲイとBL漫画のゲイの姿の違いに露骨に嫌がる腐女子がいて、本物見るとさすがに…… みたいなことを言われると傷ついちゃう人もいて、だから腐女子は嫌だなあって思う人もいたけど、

学生B

最近のBL漫画はすね毛を描いたり描写がリアルになってきたんですけど、そこは相互の歩み寄りなんですかね?

うさき

いや、ゲイの子たちはそんなの描かなくていいよって思ってるよ!

新井

それは君の場合だろ(笑)。キラキラしたのが好きなゲイの子もいるし、リアリティが好きな女の人もいるし。

学生H今キャラクターの刷り込みっていうのがあって、女になりたいわけじゃないのに女言葉を使う人っていうのがいて不思議だなって思います。

新井

オネエっていうのに国民が慣れたよね。テレビとかでも視聴率が出せるタレントにオネエがいてももはや珍しくなくなってる。こっちの方が女の人と仲良くできたり友達が作りやすいんだよね。だから普段は違うのに飲んだりするときだけオネエ言葉ってゲイの人が結構いるわけ。方言みたいなものかな? 帰省するときだけノリが合うからみたいな。でもゲイの中ではオネエより男らしい人の方がモテるから、そうゆう時だけ男らしくしてモテようとする人もいるよ。

うさき

あとゲイだと恋愛トークしたいときは絶対にオネエ言葉になるよね。やっぱ男言葉だと出来ないから。

新井

男言葉で恋愛トークしてもいいと思うんだけどね。女言葉だとどっちかっていうと女の子ってよりおばさんになってる人が多いし。

「俺」「僕」一人称と女性のアイデンティティ

新井

例えば、女の人だと「俺」とか「僕」とかいうと悪目立ちするかもしれないけど、「〜じゃねえか!」とか使ってもそれは男言葉というか友達とくだけた言葉になると思うんだよね。その点男の方が不利だと思う。男の子が「〜じゃないのよ!」とか言うと違和感あるし、男の方が選べる言葉が少ない。だからオネエの価値としては男言葉も女言葉もどちらも使えるところが良いなと。

うさき

でもこの一人称って世代的なところありますよね? 僕と同世代の30代くらいの人たちは女の子でも「僕」とか「俺」とか使う子いましたよ。

新井

そうだね、今はネットの文で使う人がいるかな?

うさき

みんなはネットだと俺って使う?

(学生たち無反応)

木村

本当にみんな使わない? 5〜6年前だと一人称で「俺」とか「僕」とか使う女の子いましたよね?

学生I幼稚園の時とかは僕ちんとか言ってました。

うさき

「俺」「僕」って言葉ありましたよね、一人称を俺とか僕とかいう人を俺僕女子って言ったよね。

新井

最初はアーティストとか不良の女の子とかが使ってたんだけど段々オタクの女の子が使うようになって、そして流行が去った感じかな?

うさき

そう、だから30代とかでキャリアウーマンやってる女性でも学生時代に俺とか僕とか言ってた人が自然に混ざってるんですよね。黒歴史。絶対一人称変わったねっていじられるよ、すごいつらいと思う。

学生F

確かに、今「俺僕女子」で検索すると1番上にヒットするサイトの更新が2008年になっています。

うさき

やっぱり2000年代。僕の世代が婚期に入ってふと消えた。ギャルの髪の毛逆毛立ててるような女の子たちも一人称が俺だったりしてましたもんね。

新井

その子が結婚したいが為にやめたわけね。

学生E

それについてなんですけど、アニメとかで「僕っ子」っていうキャラがあるじゃないですか、キャラ立ちとして。それって「僕」って自分で言うからこそ女の子っぽく見えて可愛いみたいな萌え目線があると私は思っているんですけど。そういうものとは違ったんですか?

うさき

当時の俺僕はそういうのじゃなかった。

新井

いや〜人によるかな、可愛い子ぶってというか少年ぶって使っている子もいたけど基本的に不良っぽい感じで言うのが主流でしたね。あとはその人自身のキャラクターにもよるかな。おとなしそうな子が「俺はさ」とか言うのを聞くとキャラが砕けてるなって思っちゃう。

うさき

当時は一人称が僕の子と言えばロリータファッション。

新井

キャラ付なんだよね。みんなはインターネットを中学生ぐらいから始めたかもしれないけど、今の30代の人々が第一世代なんだよね。だから一人称で遊ぶってことを覚えたんじゃないかなって自分は推測してるんですけど。セクシャリテイとは別の話になってくるよね。中には本当に男になりたくて俺とか僕とか言ってる人もいるけどね。最初はただの俺僕かなって思っても卒業して何年か経つと男の人になってたりとか。

うさき

それはそれで当時の問題だったんですよね。今でいう女装子(じょそこ)みたいな感じで、俺僕女子と本当に男になりたい人の間にはズレがありましたよね。

新井

あったね、男装かなって子と本気で男になりたい人と。

「女装」の現状

うさき

ただ男が好きで男の格好したい人が自分も本気でなりたい人と同じだって言ったりしてもめたり。すぐもめちゃうんだよね。今の女装も同じ事が起きてるよね。

新井

本物になりたい人とコスプレで楽しんでる人がいつも存在するからね。

学生A

争ってることに対してはどう思っているんですか。

新井

みんな仲良くすればいいのになって思いますね。昔の人みたいに「全員まとめてニューハーフです」ってなるとそこに全部が含まれちゃうから多分争いが起きやすくなるんだろうなって。細かく自分たちが作った愛称とか呼び名をつけるといいのかな。それでももめるのかな。でも「男の娘です」っていう人を見れば女の子になりたい人ではないっていう発信になるから。

うさき

そこが難しいんですよね。単純に女装の場合モテる、モテない問題も入ってくるじゃないですか。ノンケなのに女装して自分がどんだけノンケの男性に最後までバレずに、女性としてモテるかで勝負している人もいるんですよね。そういうのもやっている人がいるけど、本当に男が好きで女装しているけどでも結局男にモテない人もいるわけで。そういう人からしてみたらノンケの男がパッと女装して男にモテるっていうのは悲しみでしかないじゃないですか。

新井

戦いが起きるよね

うさき

そうです、そうです。その争いっていうのは、もう性別とか関係なく、単純にモテるモテない問題だからー。究極的には争いが絶えないですよね。

新井

またそこに年齢とかも関係してくるからデリケートな問題だよね。

うさき

そうそう。女装は特に悲しみがやばいですよ。

新井

でも悩んでなかったら一番悲しみがないのも女装子だよね。

うさき

若いうちはそうですよ。でも年取ってくると女装子っておじさんとおばさんの問題が同時にやってくるんですよ。女の人は将来年を取るにつれておばさんになっていくという問題しかないし、男の人もおじさんになっていくという問題しかないのに、女装子はおじさんとおばさんというどっちもが駆け寄ってくるから、気が気じゃないと思う。

新井

年配の50代の人とか見てるとそうだよね。でも、人によってはちゃんとおばさんで行くって決める人もいる。完全に普通のおばさんとして授業参観に来そうな感じとかいるからね。そういう人は幸せそう。

うさき

若いうちって、中性的だから(男性、女性)どっちつかずでふらふらしていられるんだけど、年々そうもいかなくなってくるから…… そうするとやっぱ選ぶ瞬間ってやって来ますよね。

新井

身長の問題もあるよね。背が低いと割とだいぶ年いっても綺麗な人でなくとも女の人に見えたり。もう40見えてくるとみんな悩み始めるんだよね。女装してる人とか「続けていいのだろうか」と。ここでやっぱり身長問題だと思うんだけど、すごく身長の高い人は普通の男性と並んだ時に女性に見えなくなっちゃうから。

木村

今の日本の若ければ若いほどいいっていう圧力があるという話はすごくよくわかります、わかりますが、おじさんおばさんの魅力みたいなものが……

新井

日本人昔からそういうの苦手なんでしょうね。

うさき

でもおじさんは大丈夫

新井

うん。最近だとだいぶおじさんの世界が開けた気がするな。ジャニーズの上の方の人たちがおじさんになってきたからおじさんが増えたんでしょうね。芸人さんとかも皆40代ばかりだから若い子の目が慣れてきたのがあるのかもしれないですけど、おばさんに関しては今もグレーゾーン。

うさき

うーん、そこはでも女の子から許容していくしかないんじゃないですか。

新井

若い男の子が熟女をもっとチヤホヤしてくれたら女性も年を取るのが怖くないし、女装子の人も年齢なんて……

うさき

亀梨くんと小泉今日子って若い子から見てどうなの? もう別れたけど。あそこを許容できるんだったらその問題って完全に解決すると思うんです。小泉今日子は能力も全て人間的に亀梨くんより上なわけだから。女優としてもアイドルとしてもできるし経歴的に亀梨くんより上なんですよ。そこをイエスかノーが大きな問題で。

学生B

美魔女って言葉もありますしね。年がいってても美魔女っていうのはまたおばさんの魅力とは違いますよね。

新井

そうですね。美魔女って言葉とか出てくるとみんなちゃんとカテゴライズさせるからねー。「この人おばさん!」とかいうと傷つく人もいるけど…… 日本人って人を傷つけないようにするのがほんとに上手いよね。男の娘みたいのもそうですけどほんとに日本人の技だと思いますよね。

学生C

カテゴライズをしていくことで生きやすくなる人もいる反面、こんなにいろいろあるのに自分はどこに行ったらいいのだろうかという風に思う人もいるかなって思うのですが。

新井

そうですねー。もう永遠にその問題はなくならないと思います。 心の性別が迷子状態の人たちって、ごくごく一般的な男や女として暮らしたら嫌がると思うんで、その曖昧な所をみんなが受け入れていく社会になるといいですね。そのためにはやっぱり目を慣らすしかないんですよ。「すっごい中途半端な外見の人が来ても引かない」ってするしかないのかな。

うさき

それは難しいですよ。

新井

タイにしばらく住んでいると次第に慣れてくるから、日本人ももしかしたら慣れてくるかもしれないね。

うさき

でもそうなってくると実害を及ぼす存在が目についてくるわけで。

新井

あー。女装して痴漢する人とかね。

うさき

女装してそういう犯罪を犯してしまう人がいると、純粋に男性が好きで女装している人までネガティブなイメージを社会的に持たれてしまうから。守らなきゃいけない問題が絶対にやってきちゃうんで。加害者ってものが存在する以上。

新井

日本人は男女でふらふら遊んでいる人を見ると、どうしても「あいつらのせいで治安が乱れてる」って思われがちだから、それが生じちゃうとちょっと陰りが見えちゃうよね。

うさき

だから、ここの敷地内にEXILEのようにいかつめの男性がなんとかメイクを頑張って入ってきたとして、それを止めるべきか否かってことですよね。

新井

いや大丈夫でしょ。それを許容してあげる社会になれば。

うさき

それを許容する社会は大事だと思いますが、実際怖いでしょ?

新井

慣れる、絶対慣れる。服装じゃなくてそんな人かの方が気になるようになると思う。まだ慣れてないだけ。おそらく少ししたらみんな慣れるよ。マツコ・デラックスとか実際いたらすごい大きいし、強面じゃん。だから結局キャラに合っていたら受け入れられる。ただ女風呂に入りたい場合が難しいよね。

うさき

そこなの!!!いるんですよね、女風呂に入りたいっていう人が。

新井

そういう場合、何処まで治療をしているかが関わってくるだろうね。

うさき

それで胸入れてたとしても女の人が好きだったりしたら、自制してもらわないとこの子達側からしたら困るじゃん。

新井

もう後はキャラクターじゃないか。やさしいか、怖くなく文化的な感じなのか、いやらしい感じなのかで違ってくるじゃない。それこそ眼鏡で普通のおとなしそうな女の子が「おれはさー」って言うのと同じで(笑)性別じゃなくて、キャラクターと折り合いがついてちゃんと自己演出ができているかっていう。

うさき

そうですね。不気味の谷なんですね。女装子たちにも浅い不気味の谷ってあるよね。人によるけど。

新井

服の選び方とかね。よく言われるのが、もとの性別を変える時にファッションとかヘアスタイルとかに興味があったかなかったかでその変貌した時の偏差値が違うってね。

うさき

やっぱないものねだりなんじゃないですか。

新井

そこがファッションセンスなんだよね。自己演出ができていれば大丈夫。

うさき

完全に偏見なんですけど、リズリサとかアクシーズとかの服を着ている女装子の人って厳つい人が多いじゃん?

新井

甘めの服だから強調されちゃうだけじゃないの? そういう服をすって着れちゃう女装子の人って綺麗だからあんまり印象に残らないけど、でっかい女装の人が歩いているとインパクトが強いから。そこの問題って大きいよね。

学生C

最近話題になっている人で、レディビアードさんやコンチータさんなどがいるじゃないですか。

新井

コンチータさんはすごく叩かれているよね。国の代表として出ているのに怪しからんと。

うさき

この二人はほんとに攻撃しに行っているから。多少の反撃前提で生きているでしょ。

学生C

私はそういう人たちがかわいいとかキュートって点で結構好きなんです。でも批判的な人たちからは本人に対しての批判だけではなくて、ファンも批判されることあるんですね。例えば、女性ファンに対して可愛くなりきれない彼らを可哀想というニュアンスを含めてかわいいって言ってるんじゃないのとか……。

うさき

でもこの人たちは女の子になりたいわけじゃないよね。

新井

ファンは女性なのかな?

学生C

ファンは多分女性が多いと思います。

うさき

このコンチータさんはジャンルで言ったらドラァグクイーンなんじゃないですか。

新井

そうだねー。でもパフォーマンスじゃなくて歌姫だからまた新ジャンルなんだろうけど。

学生C

こういう人たちに対して綺麗とかかわいいという言葉を口にしたときにそれすらも弾圧されるというのが個人的に疑問に思っているところです。

うさき

叩いているのがゲイや女装の人だったら妬みもあるのかもしれないけど、もし一般の男の人だったらただノリが悪いだけだよ。

新井

うん、ネットクズ。自分が興味がないものに対して批判するのは単なる文化系クズだから、気にしない方がいいよ。

うさき

もうこれは女装とも違うからねー。パフォーマンスだもん。単純に注目されるために前に出てるっていうのが気に入らないだけでしょ。

新井

今、変わったものが好きな人にサブカルパワーが足りないんじゃないかなって思うんですね。弾圧されることを気にしちゃダメだと思うんです。「普通と違うものを好きって言ってるんだから文句だって言ってくる人がいるさー。」という強い気持ちで、一緒に戦うぐらいの気持ちで向き合っていかないと。

学生C

ちなみにLGBTとかセクシャルマイノリティーの方々は、女装子をさらに飛び越えたこうしたおふざけに関してはどのようにお考えですか?

うさき

特に批判とかは聞いたことがないよね。カテゴリー違いな気がする。レディビアードさんはもはや猫ひろし、江頭の延長線上にいる気がする。

新井

服装芸人みたいなね。

うさき

あの人が女装子だとしても真面目にやってるって思わないもんね。

新井

だからあんまり弾圧とか思わない方がいいと思うな。

うさき

でもコンチータさんの方は複雑な問題な気がする。

新井

もしそういう人たちを応援するなら、その人の持っている毒を飲んで一緒に応援するぐらいの肝っ玉を持ってもいいんじゃないかなーと思います。

好きだった男がノンケの場合

学生D

もし今好きになった男性がノンケの方だった時はみなさんどうしているんですか? ホモ同士の方よりは話がスムーズにいかない気がして……

うさき

よく聞く話ではありますけどね

新井

恋愛するのは人と人だから、好いている方のゲイの人がどういう容姿かとかどれくらいの近さかで意外にもノンケを落とせたりすることがあるんだよね。

学生D

実際にそういう経験をされたことがありますか?

新井

俺は自分に興味を持ってくれる人しか好きにならないので、あんまりないですね(笑)

うさき

僕はでも初恋はノンケです。

新井

そうだよね。でも初恋っていうのは早々実らないものだからね〜。中高生のころはそんなに都合よくはいかないね。

うさき

だいたいゲイの初恋って自分の周りの友達からになるから最初はノンケが多いかな。ゲイの初恋はみんな身近な人だよね、親戚のお兄ちゃんとか(笑)

新井

でも田舎と東京でも違うよね。東京でノンケからゲイになった場合は二丁目で遊びまくれるし、一概になにが幸せとは言えないな。

うさき

ノンケを好きになるゲイってめちゃくちゃ多いけど、ノンケがゲイになるっていうのは一種のブランドなんだよ。ノンケをゲイにして落としたらゲイの中ではシンデレラストーリーだからね(笑)

学生Jノンケをゲイにして落とすっていっても、ゲイになったらなったで魅力を感じられなくなってしまうこととかってあるんですか。

新井

それはあるね。よくゲイの人から聞くのは落としたのはいいけどゲイになっちゃったっていうパターン(笑)なよなよして女っぽくなってきちゃってこんなはずじゃなかったっていうのがよく聞く話。これはでも男女でもあるよね。

学生Kゲイの定義が私の中ではまだ曖昧なのですが…… ゲイはいわゆる男の人全体を恋愛対象にしないでたまたまゲイであるその人と恋仲になっただけで恋愛対象は男の人とか限らないということですか。

うさき

それはいわゆるバイセクシュアルですね

新井

バイセクだと思っていたらゲイだったりとかもあるし、意外とみんな自分のことをそこまで深く考えてなかったりするから、好きになった人は好きになった人でって感じだよね。

うさき

ゲイってもともと同性愛者全体を指す言葉ですよね。レズビアンも含めてゲイだった。

新井

最近は限定してわかりやすく男性の同性愛者のことをゲイっていうよね。世界的にそういうことにどっかでなったんだと思う。

男(女)としてではないセックスに

学生K攻める受けるの話で、女として男としてではないセックスにおける喜びってありますか。

新井

中間の性別の人だと相手の感じに合わせることがあります。けど、ノンケの一般的な男性や女性でも定番狂わせをしたような快感が得られると思います。例えば男が完全に女の子みたいに受け身になったりとか。嫌がる人は嫌がるかもしれないけど色んなことを果敢にやっていけば二人のベストな方向に持って行けると思う。

学生K男らしさ女らしさにとらわれない中間の役割も存在したりしますか。

新井

ふつうの夫婦とか慣れた関係になればみんなの両親とかも色々やってると思うよ(笑)みんな言わないだけで意外といろんなこと試してるよ。

うさき

小学校の頃、親のベッドサイドから大人のおもちゃ出てきて衝撃でしたもん(笑)すぐにはわからなかったけど、魔法陣グルグルっていう漫画に出てくる勇者の剣が完全にそれだった。俺は勇者の剣だとその当時は思ってたよ(笑)親は顔面蒼白だったけど……

学生L今の日本はゲイの方がテレビに出られたりなどして前よりは性のカテゴライズが周りに認められているように感じますが、タイや最近同性婚が認められたアメリカなどの国と比べると日本は全然違います。他にも日本の課題とかってありますか。

うさき

日本は半世紀遅れてるよね。とはいえちょっと昔の時代までは、白人圏は同性愛は死刑だったからね……

新井

同性愛が禁止だった国では全力で反抗して認めさせないとだめだったんだよ。タイも必ずしも喜ばれて受け入れられてるっていうわけではないから、そういう点では日本と変わらないよ。

うさき

日本は特殊ですよね。昔からそこそこ認められているから。ゲイ側からするとあとは権利だけって感じかな。好きな人が急に入院したときに病院にいれてもらえなかったり同じ墓に入れなかったり、そういう結婚とか家族ぐるみのことができない点だけに日本は絞られてるね。

新井

海外だと別の問題があるから、宗教的な問題とかね。

学生Lよく恋愛だと自分と違う人に惹かれるみたいなのが結構多いとかっていう話もよく聞くんですが……
新井

たまにいるんだけど、大きい男の人で小さい男の子が好きとか小さい男の子で女性は背が高くてたくましい人が好きっていうのもあるので、別にそこらへんはあんまり変わらないと思うんだけど、ゲイに多いのは逆に「同じタイプ同士で惹かれあう」っていう現象。わざと太ったりとか髭を生やしたりとかして、好きな相手に似せていく人もいるね。

うさき

でもみんなも自分がもしかっこいいとか好きだなって思う男の人とか俳優とかがいたとしてさ、その人が着てる服が自分にも似合うなって思ったら着てみたいでしょ? そんなことない?

新井

多分違うと思う。

うさき

もしかして俺ホモかな?

新井

今更?

うさき

そうですよね。ないんですね。

新井

若い子のジャンルだと可愛くして大人のお兄さんとかおじさんにナンパされたいとか恋愛したいっていうのは最近ふつふつと増えてはいます。

うさき

そうだね、うん。

新井

でもそういう子に手を出すお兄さんなりおじさんなりが真逆のタイプだから好きかっていうと、そうでもない。歳をとってしまっただけで、若いときはジャニーズ系だったりするから、実のところは「同じタイプ同士で惹かれあう」だったりする。単に加齢とともに変わっただけだったりするので、どこか自分と共通点を相手に探してるっていうのはゲイあるあるじゃないでしょうか。

学生C

自分を認めたいという気持ちが多少なりともあるのかな、と思うのですが?

新井

自分を認めるっていうみたいなのはまぁある、自分の若いときとか自分のやりたかった好きなこととかなんか自分にとって共通点がある人とかを褒める、可愛いって思うと、どこか遠まわしになんか自分自身が満たされるみたいなのはあるんじゃないかなと……

うさき

盛り上がれるってのもあるしね。

新井

価値観は一緒の方がやっぱりあれなんじゃないですかね…… テンション上がりやすいんじゃないですかね。

学生G双方からってことですか? その攻めに回る人も受けに回る人もどちらも両方が近づいていくというか……

うさき

攻めに回る人って大体受けに好かれる格好をしてる。

新井

そうだね。あえてそうしてるっていうのがあって、どこかには共通点があるってことが多いですね、やっぱり同性だからなんでしょうね。ジャンルがあるじゃん、髭クマ系とかジャニーズ系とかって。似かよっていやすいから……

うさき

クマさんってクマさんじゃなかったらはじかれる世界だから、本当に。

新井

クマさんは80㎏くらいないと仲間に入れてもらえない。

うさき

クマさんの世界だから。

新井

そうそう。なんかあれじゃないですかね、鏡を見たら好きな感じの外見してるって方が楽しいっていうのもあるんじゃないですかね。

学生C

行為の問題に関してなんですけどコンチータさんとかみたいな風に男性って化粧ばっかりして美しく着飾ってるゲイの方に関してはどう思われてるのかなって…… その方を好きになるのは素敵だなと……

うさき

ショーの瞬間だけあの恰好をしてますからね、普段その状態は結局やっぱどっかに属してると思いますよ。

新井

男の姿ってひげで普通にイケメンに……

学生C

ショーの一貫としてなのでしょうか?

うさき

完全に。ドラッグクイーンは大体ショーです。

新井

ショーかな。すごい魅力あるとも思うんですけど……

うさき

年功序列もあるらしいからね、ドラッグクイーンって。

新井

あるみたいだね。

うさき

そういうだから完全になんか歌舞伎みたいな。

新井

形式の世界。

学生C

そういう奇抜な格好するのは主張したいからとか人に評価されたいとか、プライベートとは別に何か評価が欲しいからああいう格好をしてるんですか?

うさき

もう美術としての演出だと思う。

新井

うん、自己演出。さっきもなんか出てきましたけど、自己演出の世界観だろうと。自分でこういう演出をしたいと思ってやってるんだろうと思います。

うさき

自分をこういう作品として扱ってますよね。大体ドラッグクイーンの人。

新井

プライベートはまた別っていう感じでしょうかね、きっと。

学生C

日本は半世紀遅れてるという話があったんですけど、これから日本の同性愛問題についてはどうなっていったらいいという理想はありますか?

新井

そうですね、自分は同性婚は賛成の方なんですけど、同性婚オッケーになるだけで手術とかしなくても夫婦になれたりとか別に中途半端な外見のままでも婚姻できたりする人増えると思うので、そうすると世の中に中間ぐらいかなみたいなそうとも言えないくらいの外見の人も増えると思うので、全体的に慣れていくんじゃないかなと思います。でも結婚できないとあれですからね、いけないことみたいにしてこの頃パソコンのゲームの中とか漫画の中の設定とかで取り扱えないじゃないですか、ゲイとか妖怪ウォッチで失ったおじさんの夫婦が…… とか考えられないけど同性婚を許可しても別にそれを危惧されることは…… 法的にオッケーなわけですからね。全体的に意識が変わるんじゃないかなとは思ってます。それには法改正するしかないのかなって。やっぱ違法なことってどっかいけないことって思っちゃうんだよね、人間は。

うさき

そうですね、マナーとかルールの中で許容していくとすればそれが土台になってみんなが受け入れてくっていうのは絶対ありますよね。

『牧神の午後』をめぐって

学生A

以前メールで今日の会を相談する中で『牧神の午後』をテーマにお話ししてくださいとお願いしておりましたが、ご覧になりましたか?

新井

子供のころ。

学生A

『牧神の午後』に関してコメントもらえますか?

新井

ニジンスキーに関しては一種のナルシシズムが強い形で、ゲイだったりとかバイだったりとかいろいろ言われてはいますけど、基本的にはすごくナルシシズムが強い人だと思うので、その形として自分を一番理想的な感じでテーマに合わせて見せる手段としてこうしたんじゃないかなっていう風には思っていました。

学生A

劇中に自慰行為のシーンがありますが、芸術作品の中の性愛の取り入れ方はどう思いますか?

新井

自己表現ということでこの手法を選んだと思うんですけど、オナニーのように見えるしぐさといいますか、踊りを入れるのが多分彼的には必要なものと思って自己演出でやったんじゃないかなと自分は思っていたんですけれども、いい悪いとかはおそらく考えてなかったと思うんですよね。そのあとモダンバレエから現代に近いモダンジャズからダンスの世界に広がっていくにつれて、性的な振り付けとかしぐさとか衣装とかもどんどん開かれていった部分ですから、この発表したころはとやかく言われたんだけど、結果としては割と普通になっていることなのかもしれないと思いました。

木村

面白いですよね、ニジンスキーにとって自己表現であって、それは自己表現でありつつオナニーというようなモチーフが必要だったんじゃないかという…… 面白いですね。なかなかでも確かに本当そうですよね、モダンダンス、モダンバレエっていう風に歴史が進んでいけば性の表現ってもっと開放されていくしまたあからさまな表現が出てきますけれど、そこから見れば確かに流れは見えるけれども…… でもニジンスキーがこういうこと必要だなって思って選んだっていうのが重要ですよね。卓見だなとも思うし、でも素直な選択だったんだっていう……

新井

一番最初にやる人っていうのはちょっと賛否両論で叩かれるものなんじゃないかなって思いました。もう70年代80年代くらいになったら完全にモダンバレエだとセックスみたいな振り付けも全体的にあるっていうので…… 60年代もそうですよね、むしろ過激なものって感じなのが求められたっていうのは多分民衆が欲していたんだと思います。いけないこともそんなにいけなくないってなっていったら多分そんなにタブー感はなくなると…… かといって全裸になるわけにはいかないから、ダンスを作っている人たちはもっと過激に見えるけど許される範囲での表現方法をきっと模索してるんじゃないかなと思います。

学生A

ありがとうございます。今日は本当にいろいろ言われてみると「なるほど!」と思うことがたくさんあって楽しかったです。ありがとうございました。

2016.12.16
連結クリエイション
「秘密のダンスは何処にある?」WSのアーカイヴ
超連結クリエイション vol. 4
テクノロジー×ダンス×X(社会的課題)
2017年1月18日(水)19:30
@ 東京工業大学 西9号館ディジタル多目的ホール
2016.12.12
連結クリエイション
石谷治寛「障害とダンス」
第3回「超連結クリエイション」
2016.12.12
超連結クリエイション
第3回「超連結クリエイション」のアーカイヴ
2016.10.07
連結クリエイション
テクノロジー×ダンス×X(社会的課題)関連企画
10/28、10/29
継承の「媒体」としての身体/動画をめぐって
砂連尾理トーク&ワークショップ・イン・トーキョー
2016.09.29
連結クリエイション
テクノロジー×ダンス×X(社会的課題)関連企画
11/8、11/13
秘密のダンスは何処にある?
2016.08.24
連結クリエイション 第4回のテーマ
テクノロジー×ダンス×X(社会的課題)
2016.08.23
連結クリエイション
テクノロジー×ダンス×X(社会的課題)関連企画
9/12、9/13、10/12
手塚夏子の三夜 「トレース」をめぐって
2016.06.17
連結クリエイション
第2回「超連結クリエイション」のアーカイヴ
2016.05.08
連結クリエイション
新井祥さんに学生たちが聞いた「性愛と表現」とくにLGBTのこと
2016.03.19
連結クリエイション
岡田育さんに学生たちが聞いた「性愛と表現」とくにBLのこと (2)
2016.03.19
連結クリエイション
岡田育さんに学生たちが聞いた「性愛と表現」とくにBLのこと (1)
第3回 超連結クリエイション
2016年1月24日(日)17:00 @ 京都芸術劇場studio21
参加メンバー:塚原悠也 野上絹代 砂連尾理
ゲスト:熊谷晋一郎 石谷治寛 古後奈緒子 伊藤亜紗(司会:木村覚)
2015.11.02
連結クリエイション
捩子ぴじん×木村覚 メール書簡
2015.11.02
連結クリエイション
市原佐都子さんが飴屋法水さんに動物の性の営みについてきいたときのこと
第2回 超連結クリエイション 牧神の午後編
2015年12月16日(水)19:30 @ VACANT
参加メンバー:捩子ぴじん 市原佐都子 高田冬彦
ゲスト:会田誠 飴屋法水 Aokid 山内祥太
2015.10.01
連結クリエイション
BONUS ダンス演習室 第3回 まとめ
2015.10.01
連結クリエイション
高田冬彦×木村覚 (3) スカイプ対談
第3回連結クリエイション
障害者との共生:障害者とともにダンスは進化する
連結クリエイション
市原佐都子×木村覚 メール書簡
QへのQえすちょん (2) 雑交性
連結クリエイション
高田冬彦×木村覚 (2) メール書簡
連結クリエイション
BONUS ダンス演習室 第1回 まとめ
連結クリエイション
リローデッド「即興二番」
Part 2(2日目:2011/06/04)室伏鴻×大谷能生×木村覚
連結クリエイション
リローデッド「即興二番」
Part 1(1日目:2011/06/03)室伏鴻×大谷能生×木村覚
連結クリエイション
市原佐都子×木村覚 メール書簡
QへのQえすちょん (1) 侵入の感覚
連結クリエイション
高田冬彦×木村覚 (1) メール書簡
BONUS ダンス演習室
BONUS Dance Laboratory: BDL
篠田千明、大谷能生、捩子ぴじん、木村覚、Aokid、望月美里
第2回連結クリエイション 公募企画
りみっくす・おぶ・ふぉーん
連結クリエイション 第2回のテーマ
ニジンスキー『牧神の午後』を解釈して映像のダンスを制作してください
連結クリエイション
第1回「超連結クリエイション」のアーカイヴ
超連結クリエイション
2014年12月10日(水)19:00 @ スーパー・デラックス
Aokid+たかくらかずき 岡田智代 小林耕平 宇治野宗輝
真鍋大度 平倉圭 木村覚
連結クリエイション 岡田智代
雨娘
連結クリエイション 宇治野宗輝
VEHICLE figure test drive: IN THE RAIN
連結クリエイション 小林耕平
神村・福留・小林・雨に唄えば
連結クリエイション
岡田智代(チームよーとも)制作記
(2) 振り付けの伝授
連結クリエイション
小林耕平・神村恵・福留麻里・木村覚 チャット・ミーティング
連結クリエイション
Aokid×木村覚 メール書簡
2014/8/17 - 8/24
連結クリエイション
岡田智代(チームよーとも)制作記
(1) 振り付けとものまね
連結クリエイション
宇治野宗輝×木村覚 メール書簡
2014/8/1 - 8/4
連結クリエイション
小林耕平×木村覚 メール書簡
(2) 2014/7/31 - 8/2
連結クリエイション
小林耕平×木村覚 メール書簡
(1) 2014/6/30 - 7/8
連結クリエイション 第1回のテーマ
『雨に唄えば』のあの場面を解釈して映像のダンスを制作してください
連結クリエイション
連結クリエイションとは